騙されない経営者はアンケートも数値化も疑ってかかる。お客様は無意識に嘘をつくと知りましょう

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お客様は無意識に嘘をつく
経営をしていると、たびたびお客様に嘘をつかれることがあります。 言葉でNO、態度でYES。 言葉でYES、態度でNO。 これに振り回されていると、あなたは迷うばかり。
アンケートは真実にたどりつかない
Twitterで日本マクドナルド原田社長がこんな発言をして話題になりました。 「アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけれども売れたためしがない。 ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。お客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。」 これも、アンケートに回答しているお客様は、決して嘘をついているつもりはありません。 今、これを読んでいるあなたも身に覚えがありませんか? 無意識に、ほんとうに無意識に「いいこと言わなきゃ」と思ってしまうのが人間の性分です。
言葉よりも態度を信じる癖をつけましょう
お客様は、嘘をつく。その時々の心理や状況によって、いろいろな嘘を。 嘘とは言えないような嘘から、故意の嘘まで。
飛行機会社による痛恨のアンケート調査
ある航空会社もアンケートで痛恨の痛手を負いました。 それは、その航空会社が、自社のロイヤルカスタマー(選んでたびたび乗ってくれるお客様)に「もっと弊社の飛行機を使っていただくために改善して欲しいことを教えてください」とアンケート調査をした結果を信じてしまったからです。 アンケート調査の結果は「もっと座席と座席の間を広くしてほしい」という意見が一番多かったので、その航空会社は飛行機を作り変えました。前の座席との距離を広くしたのです。 このことにより、1回に乗せられるお客様の数は約20%減りました。 一台飛行機を飛ばす費用を考えると大きな決断だったのがわかります。 でも、お客様は増えませんでした。ロイヤルカスタマーの乗車回数さえ増えませんでした。 そのうえ、座席と座席の距離を広くして会社が資金で苦戦している間に、ライバルの航空会社が「機内WiFi無料サービス」を開始して多くの新規顧客をつかみました。 この話は、ANAとJALの話です。 「機内WiFi無料サービス」は1円も費用がかかっていないはずです。 もしかかっていてもWiFi環境を整える分だけ。 座席を新しくした費用とは比べものにならない安い費用でJALはANAにお客様をJAL機に乗せることに成功したのです。 ANAはアンケートをしたのに負けました。 JALはアンケートもしないで勝ちました。 アンケートは取り方に注意しないと使い物にならないことが多々ありますので、ホントに気をつけて欲しいです。数字でさえ嘘をつく
さて、こんなことがあるので「数値化して考えましょう」となるのですが、この数値化で嘘をつくことが可能だということを知らない人が多くいます。 友人で日経でエクセルの講座を担当している米谷学さんのFBにこんなことが書かれていました。「よく○○と××との間には関連が認められる」とかいう研究結果に基づく記事を目にしますね。 だいぶ前ですが、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)から、朝食をきちんと(ここでは頻度のようです)摂っている生徒の方が、そうではない生徒に比べて、総じて成績が良かったとする記事が大きく採りあげられました。 確かに朝食の摂取と成績の良し悪しとの間には、相関関係はあったのでしょう。 しかし例えば親御さんが、朝食や家庭学習、就寝時間などの生活習慣をきちんと身につけさせているかどうかが鍵なのだとしたら、朝食と成績の関係だけでは語れない可能性があります。 また相関関係と因果関係を混同させてはならない例もあります。 この場合であれば、「朝メシ食って成績アップだーーーっ!」と短絡的に結び付けるわけにはイカナイことくらいは、常識的には理解できることだと思います。短絡的な記事が信じられてしまっているので彼は「変ですよ」と書いているわけです。