星野リゾートの再建策の秘密
星野リゾートはリゾート施設や旅館の経営再建で知られ、
集客力の向上に高い実績を残してきました。
北海道の占冠(しむかっぷ)村にある
「星野リゾート トマム」は、その代表例です。
1983年にスキー場を中心とした複合リゾート施設として開業してから、
バブル崩壊により経営破綻し、
2004年には星野リゾートの傘下に入ることになりました。
星野リゾートの再建策により、
通年型リゾート施設へと発展を遂げ、
年間50万人の来訪客・年間稼働率約70%と高い人気を獲得しています。
星野リゾートの再建策の秘密は
「地域特性の掘り起こし」
と
「従業員のアイデアを尊重」
にあると言われています。
トマムの場合、日高山脈を越えて流れ込む雲が
海のように見える幻想的な景色「雲海」が観光の目玉になり、
冬場のスキー頼みだったトマムの経営を
通年型リゾートへ発展させる一助になりました。
この「雲海」はスキー場のリフトを管理する担当者が、
ふと気づいた雲海の存在を、
お客様にも見せたいと提案したのが、
きっかけだったそうです。
従業員のアイデアを取り込み、
地域特有の観光資源を創り出したのです。
現場こそアイデアの宝庫
従業員のアイデアを尊重するのは、
口で言うほど簡単ではありません。
経営者や管理者が、
部下を「作業者」としか見ていない場合、
「頭を働かせるより手を動かせ」と言わんばかりに、
払った給料の分だけ労働させようという見方になってしまいます。
星野リゾートの例のような経営危機の際には、
がむしゃらに働かせても、
その方向性を間違えていては成果は得られません。
「作業者」から一歩進んで、
生産性の向上や新しいアイデアを一緒に考えるパートナーとして
社員を捉える態度が求めらました。
コスト削減や事故防止は
現場から案を出してもらうほうが良いのは当然ですが、
集客も売上アップも、常に現場にヒントがあります。
私は、実際の集客や売上アップのプランを決める時、
常に現場から情報収集を行います。
経営TOPや管理者がするべきことは、
会社のミッション・ビジョン決めであり、
現場からの声を集め、それが事実かどうか検証して、
会社の方向性を決める舵取りです。
多くの中小企業で起こる間違いは、
社員の声を拾い集める仕組みがないことにあります。
「社長が他者の意見を聴く姿勢が持てれば、
この会社、大きく飛躍するのに・・・」
と思う会社が、残念ながら多数見られます。
社長も人間だから仕方ない、とも言えますが、
だからこそ、社外の人間を入れてでも、
社員の意見や声を引き出し汲み上げ、
実際の施策に昇華させることが重要と言えるでしょう。
企業の再建や改革時には、
星野リゾートの現場社員の意見を尊重するという観点、
見習ってくださいね。
まとめ
理念や戦略は上から。
顧客情報や戦術は下から。
これが基本です。