たま駅長を知っていますか?
和歌山電鉄貴志駅にいる三毛猫駅長です。
この「たま駅長」のお葬式に全国から三千人が集まりました。
「たま」効果で生き返った和歌山電鉄
2007年、和歌山電鉄貴志駅にて三毛猫の「たま」が駅長に任命されました。
和歌山電鉄では「たま電車」などのイベントを通して集客を行い、
たま駅長就任直後には17%の乗客数増加が記録されました。
CNNなどの海外メディアにも取り上げられ、
2014年には30万人以上の外国人観光客が訪れています。
乗客者数は227万人に上り、2006年以降で過去最高の記録を叩き出しました。
2015年6月22日、和歌山電鉄の中心的存在だった「たま」が亡くなり、
県知事・市長を始め、多くのファンに見送られました。
ローカル線の経営は非常に困難です。
日常的に利用する乗客が少ないため、運賃による収入が見込めないからです。
世界遺産の白神山地を望めるJR五能線のような観光資源を持つローカル線は、
観光産業として経営を成り立たせることもできるでしょう。
しかし、和歌山電鉄のように観光資源を持たないローカル線は、
知恵を絞って乗客集めをするしかありません。
「たま駅長」はローカル線業界における稀有な成功例と言えるでしょう。
モノより体験
幸いなことに、消費者の目は
ローカル線のようなユニークな体験ができる方向へ向かい始めています。
キーワードは「モノから体験へ」です。
電化製品の「三種の神器」が盛り上がっていたのも今は昔で、
現代の消費者はモノの購入に喜びを感じなくなっています。
若者の車離れといったニュースは良い例でしょう。
また、お正月の福袋にも「体験型」のものが増えており、
三越伊勢丹は新潟県南魚沼市の田んぼで農業体験ができる権利を60万円で販売していました。
消費者は、せわしない日常生活から離れて、
その場所でしか味わえないユニークな体験を求めています。
岐阜県恵那市を走る明知鉄道は
ローカル体験のできるイベントを数多く打ち出しています。
日本一勾配の急な線路でも
「すべらない」で運行していることにちなんで
「合格祈願列車」を走らせたり、
極楽駅行きの切符「極楽ゆき」にあやかって
グッズ販売やツアー開催をしたり、
積極的な集客を行っています。
沿線の各所をサイクリングできるよう、
自転車ごと乗車できる「チャリンコ列車」の企画は1992年から続いています。
ローカル線への期待は高まっています
NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」でも注目された三陸鉄道は
2014年4月の復旧から、イベント等を企画し観光客を集めています。
静岡県の大井川鉄道は昭和期に製造された蒸気機関車を走らせて、
旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」によると
「旅行なんでもランキング 日本編」で一位になるほど人気が高まっています。
「たま駅長」亡き後、
同じ三毛猫で愛想の良い猫が2代目「たま駅長」に就任する日も近いでしょう。
和歌山電鉄の次の一手が、マーケッターであり猫好きの私としては気になります。
まとめ
モノがないローカル線でも
体験を売れば集客できます。
あなたが提供できる体験は何ですか?