ベンチャー企業と事業再生には共通点があると言われています。
何だと思いますか?
ベンチャー企業の場合は何もないところから急激な成長を目指す一方で、
事業再生は低迷する既存事業を変革し、業績を回復するのが目的です。
目的は異なりますが、
共通しているのは少ないリソースで最大の成果を上げる点にあります。
資金も人も不足し、明確な業務プロセスも存在しない中で、
仕事のやり方を定義し、自分の手を汚していける人材が求められます。
一方で、これとは異なる仕事の進め方をするのが、
既存の枠組みで仕事を進める大企業です。
役割分担と作業計画を明確にし、
各人が求められる責任を果たすよう管理しながら、仕事を進めます。
「枠を決める」働き方と「何でもやる」という働き方は、
どちらが優れているというものではなく、
働く環境によって必要とされるものが変わってくるのです。
これは明確に定義されたルールではなく、
皆が暗黙的に従っているものなので、
きちんと意識しなければ忘れてしまいがちです。
大企業出身者に中小企業のコンサルティングは難しい
中小企業の経営者がコンサルタントを雇う場合、
そのコンサルタントがどのような働き方をしてきたか、
十分に確認する必要があります。
中小企業の経営者は「何でもやる」のが当たり前なので、
コンサルタントにも「何でも相談できる」ことを求めます。
しかし、大企業出身者や大企業を相手にしているコンサルタントを雇った場合、
そのコンサルタントは「枠が決まっている」と考えます。
集客が課題であれば、マーケティングの施策を立案し、
それ以外は重要でないと考えているかもしれません。
この手法は中小企業では十分ではなく、
課題の周辺すべてに対処しなければ、業績改善につながりません。
例えば、集客のための広告戦略を立案する場合でも、
広告を出稿するための予算の見積もり、
人材の調整、工程の管理などを検討しなければ、
絵に描いた餅に終わってしまうでしょう。
大企業向けのコンサルタントを雇った
中小企業の経営者に不満が残りやすいのは、
「何でもやってほしい」「何でも相談したい」のに
コンサルタントは「枠が決まっている」と対応するためです。
期待値の管理は双方の責任です
コンサルティング業界には
「Expectation Control」(期待値の管理)という言葉があります。
コンサルタントが顧客の期待を超え、
満足させるサービスを提供できるように、
顧客の期待を十分に把握し、
期待とサービスにギャップが生まれないようにする取り組みです。
しかし、この「Expectation Control」(期待値の管理)を
片方の人間や組織だけが行っても、両者(社)が満足いく結果は導き出せません。
コンサルタントが期待とサービスの調整を行う一方で、
依頼主である中小企業の経営者も
自分の期待がどこにあるのかを明確にしておく必要があります。
中小企業の場合、
「なんでも相談できる」コンサルタントが必要であるケースが多いのですから、
そこを経営者も自覚して、
全体を観られる中小企業での職務経験があるコンサルタントや
担当外のことも調べたり人脈をたどってくれるコンサルタントを選んだほうが良いのです。
気軽に相談できれば、
相談するだけで問題が整理できるので心が安定しますから、
業績改善のためにも大企業出身でないコンサルタントを雇いましょうね。
まとめ
期待値の設定は両社の責任です。
他人には明確に言わないと伝わりません。
怒ったり泣いたりする前に、
何回も伝えて意識共有しましょう。