「頑張って集客すれば、売上が上がれば、会社は変わる」
もしあなたがそんな綺麗事のコンサルタントの言葉を信じているなら、今すぐその思考を止めてください。
どれだけ優れた技術があっても、どれだけ売上を追っても、社内の「仕組み」と人間の「心理」が噛み合っていなければ、会社は砂の城のように一瞬で崩壊します。
机上の空論を語るコンサルタントを完全に黙らせる、私が独立前に400名規模の企業再生の現場で命を削って戦い抜いた、泥まみれの真実をお話しします。
目次
1. 入社した会社は、3か月後に沈む「10億円の泥船」だった
独立前、私は離婚後の生活のために必死に職を探していました。
営業職に挑戦するも性格に合わずリタイヤし、必死の思いで再度、経理職としてある会社に入社しました。
それが、私の最後の勤め先です。
採用された理由は、前任の経理担当者が社長と大喧嘩をして、突如職場を放棄して辞めたから。
引き継ぎの資料なんて、何一つありませんでした。
私は慌てて社内に散らばる帳簿をかき集め、現実の数字との付け合わせを始めました。
必死に電卓を叩きエクセルと格闘して、入社1か月目にようやく完成した「資金繰り表」を見た瞬間、私は自分の目を疑いました。
「このままでは、あと2か月後にこの会社は確実に資金ショートして倒産する」
全社(5社連結決算)の売上合計が12億円程度。それに対して、バブル期に膨らみ続けた借入金の総額は、10億円近くに達していました。毎月の返済額は膨大。決算書の上ではギリギリ黒字に見えましたが、それは単なる「決算書マジック」に過ぎず、利子だけが雪だるま式に増え、元金が一切減らない破綻寸前の状態でした。
さらに追い打ちをかけるように、会社に激震が走ります。
社長と喧嘩をして辞めた前任者が、腹いせに「社内でPCソフトを不正使用している」と外部に密告。当時としては珍しくないセキュリティの甘さを突かれ、法的な罰金として「4000万円」の請求書が届いたのです。
何もなくても2か月後にショートするのに、4000万円の罰金。
入社してわずか1か月。目の前が真っ暗になりました。しかし、私が逃げれば、この会社で働く400名近い従業員とその家族が、一瞬にして路頭に迷う。
「会社を、絶対になくしてはならない」
そこから、私の命がけの戦いが始まりました。
まずは資金ショートを防ぐため、すべての売掛金の入金口座を回り、早めの入金を懇願。
同時に、買掛先の業者へ電話をかけ、時には直接出向いて頭を下げ、支払いを待ってもらう交渉を続けました。
並行してソフト会社とも直談判し、4000万円の罰金を2000万円近辺まで縮小させ、支払時期を後ろへずらす約束を取り付けました。
時間と資金との命がけの勝負
しかし、そんな修羅場の中で、社長が私に放ったのは耳を疑う一言でした。
「前任者は銀行からお金を借りるのが上手かった。あなたもできないのか?」
これ以上借入を増やせば、本当に再起不能になる。
私は何度も資金繰り表を見せて説明しましたが、社長にはその危機感がどうしても理解してもらえませんでした。
3か月目の月末、私は会社の6000万円の割引手形枠を限界の限界まで使い、残高わずか24万円か27万円という、文字通り首の皮一枚の状態で倒産を回避したのです。
2. 「正論」の猛烈な激走が、社内の鬱と強烈な批判を生んだ罠
資金ショートの危機を脱した4か月目から、私は本格的な社内大改革(構造改革)に乗り出しました。
銀行との借入金の借り換えや一本化の交渉。
さらに、3か所に分散して無駄な移動コストがかかっていた資材置き場を整理し、不要な資材を安価で処分・売却。
現場から一番近い1か所に集約させました。
そして、全員の給与体系の見直し、さらには数名への「リストラ勧告」……。
しかし、ここに優秀な人間、真面目な経営者ほど陥る「最大の心理的な落とし穴」がありました。
会社を救うために必死だった私は、朝7時に出勤し、夜24時に帰る毎日を続けました。
どれだけ働いても、自分の体力が辛いとは思いませんでした。
なぜなら、400人の生活がかかっていたからです。
正論が他者を潰す恐怖
当時の私は、100%正しい「正論」と「善意」で動いていました。
しかし、会社を必死に生き残らせようと頑張る私の裏側で、私より先に入社していた同僚たちが、急激な環境の変化とプレッシャーに恐れをなし、精神的に追い詰められていったのです。
結果、一緒に戦っていた同僚の1人が鬱病になってしまいました。
原因は、経理部員を他部署の営業補助や、本社から1時間かかる現場への移動させたことです。
この通勤や仕事内容の激変に対し、丁寧な「心理的なステップ」を踏まないまま、話し合いを押し通してしまったことにありました。
社内からは、私に対する凄まじい批判が巻き起こりました。
「みんなの生活を維持するために、こんなに頑張っているのに、なぜ分かってくれないのか」
その時、私は猛烈に反省し、人間心理の冷徹な構造を学びました。
「人は、どれだけ正しい『正論』であっても、急激な変化には恐怖しか感じない。
人間の感情(心理)を無視して仕組みだけを動かせば、組織は鬱と批判で自壊する」
この時の痛烈な失敗と教訓があるからこそ、今の私は、コンサルティングにおいて小手先のノウハウではなく、経営者と従業員の「感情設計(心理のステップ)」を何よりも重要視しているのです。
3. リストラを経験したからこそ貫く「首切りゼロ」への執念
この大改革の中で、私は職務内容や役職に見合わない高額な給与をもらっている人間、社内外でのクレームが多い人間などをあぶり出し、面談を重ねました。結果として、3名の方に会社を去っていただく(リストラ)という、断腸の思いの決断を下しました。
「この人たちにも、守るべき家族がいる。明日からどうやって生きていくのだろう」
経営判断としては100%正しかった。しかし、その決断を下した夜、私は一睡もできませんでした。
「二度と、この痛みを誰にも味わわせたくない。二度と、首切りをゴールにするようなコンサルティングはしない」
それが、私が心に決めたことです。
善意や頑張りだけでは会社は守れない
400名の命運を背負い、ドロドロの修羅場をくぐり抜けて会社を再生させた私が、今、孤独に震えている中小企業の社長に一番伝えたいのは、「従業員に報いたい、良くしてあげたいという優しさだけでは、会社は守れない」ということです。
社長が一人で集客し、営業し、従業員がただぶら下がっている会社。
あるいは、トップの耳に痛いことを言わず、ゴマすり社員だけに囲まれている会社。
優しすぎる社長は、業務内容と給与のバランスが本当に釣り合っているのかという「冷徹な事実」を見落としがちです。
孤独なTOPにゴマすりでも寄り添った励ましは嬉しいのも当然ですが、業務が滞る原因がゴマすり社員というのは、よくあることです。
トップに、従業員の正確な本音は絶対に届きません。ゴマすり社員も本音は言っていません。
本音が聞けない前提で、では、どこが一番本音に近いのかを予測して、「いつ、誰が、どのように動くか」という仕組み(工程設計)を作り、給与体系や役割を社会保険労務士などの専門家とあらかじめ握っておく。
これこそが、本当の意味で社員とその家族を守り抜く、経営者の「攻めの誠実さ」なのです。
4. 忘年会の遅刻で叱責され、私はすべてを捨てて独立した
私は全社を挙げての大改革を完遂し、10億円の借金まみれだった会社の赤字を解消して、利益と残された従業員の雇用を完全に守り抜きました。
しかし、その年の年末。
連日の激務の末、会社の忘年会に少し遅刻してしまった私に対し、社長が放った言葉は、信じられないものでした。
「あなたはそんなに偉いのか」
400人の生活と会社を救った人間に対する、あまりにも理不尽な叱責。
元々自分で副業をしていたこともあり、その瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。
「こんな理不尽な経営者の元で、命を削る必要はもうない。なんだか、馬鹿馬鹿しい」
私はその会社を退職し、自分の力で、本当に悩んでいる経営者のパートナーになるための独立を決意したのです。
まとめ
社長の孤独も、資金繰りの恐怖も、正論が通じない社内の反発も、私はすべて身を以て経験してきました。
もし、あなたが今、一人で売上や組織の悩みを抱え、夜も眠れないほどの孤独の中にいるなら、変えられない情勢を嘆く前に、自社の「仕組み」と「心理設計」を変える勇気を持ってください。
あなたが磨いてきた素晴らしい技術や誠実さを、確実に「利益」と「社員の幸せ」に変えるための設計図は、すでに私の中にあります。
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